昔、俺がまだ神戸で雇われのバーテンダーだった頃の話。
その店は10階建てのビルの地下にあった。
で、地下にはうちの店しかないんだけど、階段の途中にセンサーが付いてて
人が階段を通るとカウンターの中のフラッシュが光ってお客さんが来たのが
わかる仕組みになっていた。
でもたまに、フラッシュが光っても誰も入ってこない、外を見ても誰も居ないって
事があって、俺は寂しがりやの幽霊でも来たのかなって、半分冗談みたいに
ウイスキーをワンショットカウンターの隅の席に置いて「ごゆっくり どうぞ〜」と言っていたんだ。
それからはそれがおまじないというか、げんかつぎみたいになって
そういうことがあると、いつもそれをしてた。
そのうちお客さんも「おっ今日も来てるねー」みたいな感じになって
(そうゆう日に限って店は凄く忙しくなった)
姿は見えないけど、その頃は店の常連さんみたいに思っていた。
ある冬の朝方、またフラッシュが光ったんで、こんな遅くにお客さんかぁと思って
外を見ても誰も居ない。なんかそのまま朝の空気が心地よいので
階段の上まで昇って一服してたら、突然の大地震。そう阪神大震災です。
うちのビルは地下と一階部分がぺっちゃんこ。あのまま中に居たら確実に死んでました。
あとから考えるといつもただで飲ましてあげている、
あの見えない常連さんが助けてくれたのかなぁと思います。
今も違う場所で自分でお店をやってますが、
その店のスイングドアが風も無いのにギギィーって揺れたりすると、
今でもウイスキーをワンショットカウンターの隅に置いてます。
そして心の中で「いらっしゃい。あの時はありがとうございました。」と思うようにしています。
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2009-06-12
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